【遺産分割協議】日本国内の相続人グループから、海外に居住すると思われる連絡がつかない相続人との間で遺産分割協議をした事案
依頼主
男性・男性・女性・女性
相談前
ご相談者様は、法定相続人のひとりと連絡が全くつかず、所在不明(海外に居住していると聞いたことがある)ないため、遺産分割協議書が作成できないとしてご相談に来られました。
相談後
ご依頼いただき、戸籍附票から住民票を辿ったところ、海外に居住していることが確認され、勤務先と思われる日本法人に連絡をしたところ、海外法人と取り次いでいただき、連絡を取ることができました。
弁護士のコメント
⑴ 海外に居住している相続人と連絡がつかない場合
日本国内に居住している相続人であれば、住民票を辿っていくことで、少なくとも住民票上の住所地は判明します(もっとも、住民票を移転させていない等の理由で、現在の居所と異なる例はあります。)。
海外に居住する方だと、住民票を取得しても、転出先に「●●国」とのみ記載されるなど、国名しかわからないというケースが往々にして生じます。
この場合の居住地を突き止める方法は種々ありますが、本件においては、ご依頼者様が把握していた情報(日本国内での過去の勤務先)を元に、過去の勤務先(日本法人)に対して照会文書を送付しました。
過去の勤務先からの回答はいただけませんでしたが、照会文書記載のとおり、本人に言伝いただくことができ、幸いにして、連絡を取り合うことができました。
⑵ 相続人グループによるご依頼について
本件は、日本国内の法定相続人は、分割の意見が一致しており、海外に居住する相続人とのみ連絡がつかないという事案でした。
意見が同一のグループによるご依頼の場合、当事務所においては、全体の経済的利益が大きくなる分、報酬金の算定のパーセンテージを下げてお見積りをしており、ひとりあたりの負担額を抑えることができるメリットがあります。また、まとめて手続を代行できることや、他グループの相続人との意見の食い違いがある場合には、当方側のまとまった意見を調整しやすい可能性もあるなどのメリットがあります。
他方において、同じグループ内でも、同一の遺産からの取得分をめぐり、潜在的には利益相反関係にあるため、このような利益相反状態が顕在化した場合(内部での意見が分裂してしまった場合など)、すべてのご依頼者様との委任関係を解消しなければならず、各人が再度別の弁護士に委任する結果、かえって費用がかさんでしまう可能性があるというデメリットがあります。
そのため、相続人グループで同じ意見の場合でも、まずはおひとりにてご相談いただき、上記の利益相反関係顕在化のリスクを踏まえて、相続人グループ全員でのご依頼をいただくかご検討いただくとよいかと存じます。
⑶ 司法書士・税理士との提携について
近時は海外相続案件も珍しくありませんが、国内でも海外相続案件の事例を多く取り扱っている法律事務所・司法書士事務所・税理士事務所は、まだまだ多くはないものと思われます。
本件につきましても、海外居住者の相続人との連絡がつきにくいということもあり、できる限り海外居住者の手続的コストを減らして対応できるよう配慮しています。
当事務所においては、海外案件の経験もある司法書士事務所・税理士事務所と提携しており、このような案件でもお任せることができます。当事務所との提携の士業にご依頼するか否かは、まず見積書をご確認いただいて決めていただいているため、相見積もりを取得する利用方法でも構いません。